岡田テクノ特許事務所

J-PlatPatを用いた特許検索 (J-PlatPatの活用tips)

最終更新日:2021/03/02



1)はじめに

 J-PlatPat(※1)を利用することで、特許、実用新案を無料で検索及び照会することができます。

 その使い方は、J-PlatPatのヘルプに詳説されていますが、ここでは、業務上又はお客様への紹介の際によく参照する内容や使用する機能に絞り、そのエッセンスについて整理します。

(※1) J-PlatPat
J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)は、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が運営する特許、実用新案、意匠及び商標等の産業財産権関連の工業所有権公報等を無料で検索・照会可能なデータベースです。


2)特許・実用新案検索

 J-PlatPatの「特許・実用新案検索」では、書誌的事項/要約/請求の範囲等のキーワード、FI/Fターム/IPC等の特許分類、出願人/権利者/代理人等のその他の項目から、特許公報実用新案公報を検索することができます。

 検索した結果に関しては、検索終了後に文献リストが表示されるので、各文献の記載内容、経過情報、ドシエ情報(世界各国の特許庁が保有する出願・審査関連情報)を確認できます。
 また、結果についての処理メニュー(ボタン)から、検索結果の文献に付与されている分類コードのランキング、選択した文献のpdfデータ、文献リストのcsvを取得することもできます。

 このため、オンラインでの確認作業やオフラインでの詳細検討の両方に十分対応できる機能を備えているといえます。

 検索時の検索項目の入力方法には、「選択入力」と「論理式入力」の2つの方法があります。それぞれの入力は、「特許・実用新案検索」のページのタブ選択で切り替えることができます。


3)選択入力

 「選択入力」は、検索項目をプルダウンメニューから選択し、検索項目に対応する特許分類コードやキーワードを入力します。例えば、特許分類FIのF16F7/00@Bを検索する場合は、


     ・「選択タブ」を選択
     
     ・「検索項目」にて「FI」を選択
     
     ・「キーワード」欄にF16F7/00@Bを入力
     
     ・「検索」ボタンをクリック
     

で、検索ができます。

 この「選択入力」は、親切なナビゲーション画面から検索入力できるので、検索入門時やごく小規模の検索には非常に便利です。しかし、J-PlatPatに慣れてくると、逆に冗長な画面構成や入力の制約に不便を感じるようになります。

 その場合は次の論理式入力が便利です。


4)論理式入力

 「論理式入力」は、検索したいキーワードに構造タグを付与することで検索項目を指定し、指定された複数の検索項目のOR,AND演算により、入力用の論理式を作成します。

 慣れてくると選択する手間がなく、簡単な構成で論理式を生成することができますし、OR,AND演算が複数混在する複雑な検索を行うにはこの「論理式入力」がほぼ必須です。

 検索の熟練者だけでなく、頻繁に検索する方にも便利な入力方法といえます。

 例えば、特許分類FIのF16F7/00 と要約に「アクティブ」又は「動的」の記載がある文献を検索する場合は、


     [F16F7/00/FI]*[アクティブ/AB+動的/AB]

という論理式を生成、入力します。


5)論理式入力の主な構造タグ

 以下は、「論理式入力」で比較的よく使う演算子及び構造タグの一覧です。

演算子

演算内容演算子
OR
AND*
括弧[ ]
順同近傍演算(n文字),nC,
順不同近傍演算(n文字),nN,

構造タグ

検索内容検索構造タグ
書誌事項/BI
発明の名称/タイトル/TI
要約/AB
全文/TX
請求の範囲/CL
明細書/SP
FI/FI
Fターム/FT
ファセット/FC
IPC/IP
出願人/権利者/AP
発明者/IN
代理人/RP
目的/PI
課題/PS
手段/MS
効果/ED

※構造タグは上記だけではありません。詳細、全貌はJ-PlatPatのヘルプを参照してください。


6)論理式入力の不便な点

 「論理式入力」は上記したように、選択する手間がなく、簡単な構成で論理式を生成することができ、さらに複雑な検索も可能なすぐれた入力方法です。しかしながら、論理式のキーとなる演算子や構造タグは若干独特でわかりにくいです。

 「選択入力」のページには「条件を論理式に展開」するメニューも用意されていて、わかりにくさを緩和する方策はなされているようなのですが、それでも十分ではないように思います。

 実際にJ-PlatPatの論理式による検索を使いこなすには、若干、オリジナルの工夫があった方が良いかもしれません。


7)検索式から論理式への変換

 例えば、以下のような論理式変換ツールがあると便利です(弊所ツールの例)。

 特許の検索式は、慣れもあるでしょうが、検索項目又は検索式ごとを数字等の簡単なシンボルでラベル化して、その演算集合として表した方がわかりやすいように思います。

 そこで、J-PlatPatで実際に検索する際は、わかりやすいフォームで検索式を作成しておいて、その検索式をJ-PlatPat検索用の論理式に変換するようにしました。
 例えば、下図は検索項目をラベル化して検索式を作成する例です。

マンモグラフィ検索式

 各検索項目を数字でラベル化した後、AND(*)で結合した複数のサブ集合のOR(+)で構成される検索式を生成しています。
 検索式の検討時にはこのようなフォームで検討するのがわかりやすく、ミスも少なくなります。
 (例えば、株式会社日立システムズのSRPARTNERはこのフォームに近いです)

 そして、下図は、この検索式を変換ツールに入力している途中を示しています。
 各検索項目はプルダウンメニューで選択して、対応するキーワード(項目内容)を入力します。

マンモグラフィ論理式コンバータ1

 次に、各検索項目の集合として検索式を作成し、検索式作成が完了した段階で、Jplatpatの論理式に変換します。
 下図のように見た目はかなりごつい文字列の論理式が生成されるので、この論理式をコピーして、Jplatpatの「論理式入力」にペーストすれば、Jplatpatで検索できます。

マンモグラフィ論理式コンバータ1

以上の変換ツール例は、excel VBAで作成したものです。
5)で示したようなJplatpatで用いる構造タグや演算子がわかっているので、基本的には検索項目及び検索式をJplatpat仕様に機械的に置換するだけで、比較的簡単に作成できます。


7)まとめ

・J-PlatPatを用いた特許検索についてのエッセンスをまとめました。

・弊所では普段は商用データベースを使用しているので、J-PlatPatは主に各特許文献の詳細検討の際のツールとして使用することはあっても、検索で使用することはあまりなくなっていたのですが、J-PlatPatの検索機能は、数年前に比べて大幅にアップしているように感じます。

・このため、無料で手軽に使えるメリットを大いに活かし、クライアントとの発明検討、出願検討の打ち合わせにも積極的にぜひ活用していきたいと思います。

・ちなみに、本ページで紹介した検索式は、テレビ放送の録画でちょうど、マイクロ波を用いたマンモグラフィ技術に関する番組を見たところだったので、当該技術に焦点をあててみたものですが、妥当性は無視して、複数のサブ検索式からなる検索式の例として作成したあくまで例にすぎません。



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